ちぐはぐな部品

スピッツは、暗い部屋の中から見る夏の日なたとか、埃が舞ってる窓とか、早く起きすぎた朝の畳の匂いって感じ、いつでもそこにいるんだけどすごくよそよそしいんだよな、ということを考えていた。スピッツはわたしにとって世界にただひとつ、いつでも側にあ…

HOPE

昨日と今日、とっても気待ちのいい秋晴れの日だったので、ずっとずっと上を見ながら自転車をこいでいた。本当にずっとずっと上を見ていた。長い雨は夏を完全に連れ去ってしまったことがわかった。ついでに上を見ていてもだいたい自転車をこげて、家に帰れる…

手帳の書きそびれ

短い東京旅行へ行った、新木場サンセットに行くため、東京の友達に会うため。 東京に住んでる、同じ高校だった友達で、ほとんどわたしの一目惚れで仲良くなった。すごくいい子で一緒に歩くのが好きだ。待ち合わせのひと駅前の高円寺でひとり降りて散歩しなが…

ともだちは海のにおい

人間以外のものになれるのなら、美しい祈りになりたい。 今年もまたてんでめちゃくちゃの夏で、なんだか疲れて、とりあえず今ここから逃げ出したくて、もう面倒くさいので死にたくなってしまった。でもどうせ死ぬならいつも行く本屋の上の喫茶店のホットケー…

色のない鳥

映画のエンドロールを見ながら、自分が死んだときに自分のエンドロールが欲しい!と思った。 親: とか友人: とか隣人: とかクレジットされてたらおもしろい。すごく良いね。人生で関わった人全員流すのだ、あの時道尋ねた人とか、友達の知り合いでなんとなく…

それでも覗きこむのさ

今年は冬がすごく寒かったので、春の兆しがこんなにもうれしい。 と思っていたら、なんだかまたしとしとの雨はいつの間にか雪に変わっていたり、とけかけの雪道でしっかりすべって転んだりしている。もどかしいなあ、三寒四温というやつかしら。 この町に住…

小寒

ウボンマね この冬ちゃんと帰って良かった。しゃんとしなきゃと思った。 小学校跡地を歩いたらプールがなくなっていた。竹水鉄砲で遊んだ公民館もなくなっていた。学校帰りによく寄った店は駄菓子を置かなくなっていた。母実家の町へ行ったら白い灯台がなく…

かなしみ

ずっとずっとかなしかったことが、時間が経って丹念に撫でてたら、そしてそのあとよく日にあてて風をあてて、放っておいたら、すこし平気になってきた。平気になってきたのに、なんだかひどく不安だ。気持ちの奥底にずっとあるのだと思っていたものがいつの…

1987→→→→

まだウォークマンもイヤホンも持ってなかった12歳、親の車にあったスピッツの三日月ロックを持ち出して真夜中、CDプレイヤーを抱いて、二段ベッドの上の段の姉を起こさないように、暑いのに布団をかぶって、ちいさなちいさな音でずっと聴いていた夏、わたし…

ウキウキ雨季

梅雨らしくなってきました。ぜんぜんウキウキじゃない。

やがてくる大好きな季節

ちょうど1年くらい前にも書いたけれど、おだまきという花が好き、たぶんいちばん好き、桜よりもタンポポよりも月見草よりもシクラメンよりも好き。 ふりふりした背の高いものや、赤っぽいスイセンに似た亜種もあるけど、わたしが好きなのは背の少し低い藍色…

終わる冬へ

今はもう無くなった母校の小学校の校舎の1階音楽室、昼休みのピアノの椅子の上がわたしの特等席だった頃、窓にもたれかかってひとりで雪を見てるのが好きだった。 クリーム色の、ひび割れが目立つようになった校舎の壁に冬のつめたい風が遮られて、ゆっくり…

復讐

あいつに絶対復讐してやる、あいつらにいつか必ず復讐してやるって思ったのに、なにもできないまま大人になっていくの、いつのまにかそんなちっぽけな復讐なんかどうでもよくなっていくの(それでもあの頃はそこが世界のすべてだったのに)、かなしくてかなし…

「明るい未来」を想像できなくても、「今」を必死に生きなくても、思い出、があれば、ぐんぐんに進むことができるのです、私たちは。 という、西加奈子の本の一節を読んで思った。 元気が出るのはハッピーエンドとは限らない。 ハッピーエンドで元気が出ると…

タンポポ

あたたかい日が続いて、東北にもようやく桜が咲いて、 もう散ってしまったけど、数年ぶりに桜の下でお弁当なんか広げてわいわい食べたり騒いだりして。 きっと昼からお酒を飲んで騒ぎたいだけの人もいただろうけれど、そんなことはいいのだ。桜と青空の下の…