ウボンマね
この冬ちゃんと帰って良かった。しゃんとしなきゃと思った。
小学校跡地を歩いたらプールがなくなっていた。竹水鉄砲で遊んだ公民館もなくなっていた。学校帰りによく寄った店は駄菓子を置かなくなっていた。母実家の町へ行ったら白い灯台がなくなっていた。
思うことはあるけれど、なくなったんだし、仕方ない。どうしようもない。覚えておかなきゃいけないかしら。予想していたよりあんまりかなしくない。育ってきた町が少しずつ少しずつ死んでいくみたいだけれど、そういうことは仕方がない。仕方がなくしないとすごくかなしい。
夕方の港を1人で歩いてみた。寒かった。
わたしは明るかった町がもう思い出せなくなってしまっても港からなんにもなくなってしまってもこの海がずっと好きだよ。